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★ド・ケルバン病
    (de Quervain病)
どんな病気?
 妊娠中や更年期の女性、手をたくさん使う仕事をしている人に発症しやすい腱鞘炎です。親指を広げる腱が手首の親指側にある腱鞘(トンネル)を通っています。親指を動かすと腱と腱鞘がこすれて炎症を起こし、痛みや引っかかりが出る疾患です。治療は安静が重要です。手(特に母指)の安静で痛みが改善することが多いですが、痛みが改善しない場合はステロイド剤の注射をおこない、注射でも症状が改善しない場合は手術を行います。

 

以下に、疾患を詳しく説明いたします。

✔原因:下図のように腫れた親指の腱(短母指伸筋腱や長母指外転筋腱)が狭くなったトンネル(腱鞘)を通る際に、腱がトンネルに引っかかり痛みが出ます。妊娠中や出産後約1年の間に発症することが多く、育児や家事に支障をきたします。さらに更年期障害の女性にも多く発症します。使い過ぎで起こる腱鞘炎の一つです。

妊娠時、産後、更年期の女性に好発

✔症状:手首の親指側に痛みがでます。親指を曲げたり、逆に広げるなどの動作で手首に強い痛みが生じます。

​手関節橈側(親指側)に痛みと腫れが生じます。

Finkelstein test

   親指を中に入れてグーをします。このまま手首を小指側に曲げると強い痛みが生じる

治療:治療の基本は親指の安静です。女性に発症することが多く、家事仕事や育児などを必要に迫られて親指を動かしてしまい、治りにくい疾患です。症状が強い場合は注射を行います。多くの場合注射で症状が改善しますが、注射でも改善しない場合や疼痛が強い場合は手術を行います。手術時の麻酔は局所麻酔で、手術時間は10-30分程度です。この手術で注意する点は橈骨神経浅枝と長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間にある隔壁の存在です。第一区画(長母指外転筋腱と短母指伸筋腱が通っているトンネル)の直上あるいは横に接するように橈骨神経浅枝が走行しています。手術時にこの神経を傷つけると厄介な知覚障害が残ります。手術時にこの神経を損傷しないように細心の注意が必要です。また、第一区画を切開して安心してはいけません。第一区画内に長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間に隔壁が存在することがあります。この隔壁を残したままでは症状が改善しないことがあります。必ず隔壁の有無を確認し、適切な処置をしなければいけません。

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