内反肘変形
内反肘変形とは?
外傷等によって肘が内側にくの字に曲がった状態です。
内反肘変形で起こる問題点
外見上の問題:関節が曲がっている外見上の問題
機能の問題 :外側靭帯不全、後外側回旋不安定症、
尺骨神経麻痺の合併など
原因
小児期の肘周辺骨折(上腕骨顆上骨折、上腕骨通顆骨折、上腕骨外顆骨折)に伴う変形がほとんどです。
症状
内反変形の度合いは様々です。
外見上ほとんど変形がわからないものから、明らかに肘が「くの字」に
曲がっているものまで多彩です。
内反が強い場合
歩行時に手が腰に当たるため肩を広げて(医学用語では 外転)
手を振ることが多くなります。
見た目の変形を気にする方がいらっしゃいます。
小児期には変形が強いと劣等感、引っ込み思案になる場合があります。
ご本人が気にしているようなら矯正するのが良いと思います。
合併障害
内反肘変形には以下の合併障害の発生が懸念されます
★尺骨神経麻痺(肘部管症候群)
尺骨神経麻痺が進行すると小指や薬指のしびれ、握力低下、箸がうまく使え
ないなどの細かい動作が行いにくくなります。
★外側靭帯不全
肘に内反変形があると肘外側にストレスがかかりやすく外側靭帯の不安定症
が出やすい
★後外側回旋不安定症(PLRI = POSTERO LATERAL ROTATORY INSTABILITY)
外側の靭帯が緩み発生危険性が高くなる肘の不安定症
治療
★変形に対して
変形が軽い例:治療は不要です。
変形が強い例:本人が変形を気にする場合は矯正手術をお勧めします。
矯正手術で見た目が良くなり、患者さんの心のわだかまりも
改善します
★★手術は肘上で上腕骨を切り、骨の向きを変えて金属あるいは
溶けるネジ等で固定します。
★肘部管症候群に対して
尺骨神経麻痺の症状は多くの場合、進行性ですので手術をお勧めします。
保存治療では麻痺の治癒は見込めず、麻痺が進む前に手術が必要です。
★外側靭帯不全、後外側回旋不安定症に対して
外側靭帯の修復のみを行い、内反変形を残した場合は
外側靭帯不全の再発が必須!!
➢ 内反肘変形を矯正し、同時に外側靭帯の再建を行います。
治療例
約20度の肘内反変形
変形の矯正を希望されて手術
肘外側の骨を◁に切り取りプレートで固定した
Key words: 肘が痛い、肘の痛み、腕が曲がっている、小指がしびれる、肘部管症候群、肘の骨折をしたことがある、手術、矯正骨切術、神経前方移所術