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★内側型野球肘

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 内側型野球肘とは?

ボールを投げすぎて生じる肘内側の障害です。

損傷内容によって3つに分けられます。1.靭帯付着部の裂離骨折、2.内側上顆の骨端線離開、3.内側側副靭帯損傷です。症状は投球時の痛みと可動域制限です。この疾患は小児期に発症することが多く、安静とリハビリで治りやすい疾患です。

症状:初期症状は肘の違和感と軽い痛み

 初期症状は投球時に違和感や軽い痛みがある程度で、練習途中から症状が軽くなります。

 症状が進むと投球時の痛みが強くなり、可動域制限(肘が伸び切らなかったりしっかりと曲がらない状態)がでてきます。

 

✔原因:ボールの投げすぎで起こります。

 

✔診断:投球時の痛みの有無、痛みの場所の確認、肘内側を押して痛みが出る場所があるか否か、外反ストレスで痛みが出るかをチェックします。

 

✔画像:X線写真で内側上顆骨端核の不正の有無、ストレス撮影、さらに必要に応じてMRIを撮影します。

 

✔治療:

 小児:内側型野球肘は、安静(投球を行わない)で良好な成績が得られることが多く比較的治りやすい疾患です。肘以外の部位の可動域、筋力を増やし、肘への負担を軽減しさらに再発予防を目指しリハビリを行います。

 

 成人:安静が基本ですが、靭帯損傷や変形性肘関節症、肘部管症候群を合併していることが多く、注射や手術を行うことがあります。

正常肘関節の形態(骨と靭帯)
肘の構造

肘を正面から見た図です。

​肘の内側には内側側副靭帯があり上腕骨と尺骨を繋いでいます。この靭帯のおかげで曲げ伸ばしは自由にしつつ横方向にはぐらぐらしないように肘を支えています。

肘を内側から見た図です。

​赤い帯状のものが内側側副靭帯です。

小児の肘関節 X線像

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小児の肘関節は軟骨成分が多くレントゲンに映らない部分がたくさんあります。

1歳過ぎまでは肘関節の周りには骨らしきものが見えません。

2歳くらいから軟骨内に骨が出現してきます。それを骨端核といいます。

軟骨部分は骨に比べ柔らかく損傷されやすいため野球肘の障害が出やすい場所です。

内側型野球肘は障害部位によって以下の3つに分類されます

1. 内側上顆下端裂離骨折

投球時に内側側副靭帯に引っぱられ、靭帯がついている部分の骨、軟骨が折れます。

12歳以下に多い

Aは骨端核の下方がえぐれて欠損しているように見えます。

Bは正常な形態です。

2. 内側上顆骨端線離開

​投球時に内側側副靭帯と前腕屈筋群に引っぱられて、骨端線が壊れて骨端離開が発生します。

13-15歳に多い。

​3. 内側側副靭帯損傷

17.8歳以降に発症します。この年齢になると、骨端核が癒合しており、骨の損傷は起こりにくく靭帯の断裂が主な障害となります。

成人例

29歳男性、小児期から野球を本格的に行っていました。

数年前から投球時に痛みが出ていましたが我慢しながら投球していました。

右肘X線 尺骨内側に骨棘ができています。

左肘X線 骨棘はなく正常な骨の形態です。

CT像 尺骨の骨棘(水色点)のほかに肘頭にも骨棘(赤矢印)が形成されています。

軽度の 変形性肘関節症 の所見です。

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